人類は生活を豊かにするために様々な物質を利用し、毒として活用してきました。本書は毒と人間の歴史をたどりながら、「毒」がどのように利用され解明されてきたかを、豊富な写真とイラストとともに、文化的かつ科学的な側面から、わかりやすく解説しました。物質の化学構造に関する基礎知識も紹介。
毒を理解するための化学構造式の基礎
第1章 毒と人間の歴史
1 毒はどのようにとらえられてきたか?
医学の発祥と毒
古代ギリシャ・ローマにおける医療の体系化
神農伝説と『神農本草経』
大陸から日本への薬物の伝来
魔女と薬草の関係
中世ルネサンスにおける医療観の転機
暗殺の横行と解毒薬
本草綱目
華岡青洲と麻沸散(通仙散)
2 近代科学の発展と毒
病原菌や毒の認識
近代生理学と近代有機化学の成立
細菌学の成立と化学療法
第2章 毒を科学する
1 毒とは何か?~ 基本知識とその分類について
毒の起源によって分類する
作用による毒の分類
化学的性質による毒の分類
投与量とその効果について
法律による毒の規制と管理
世界最強の毒たち
2 毒の侵入と身体への作用
毒の侵入と体内でのはたらき
神経情報の伝達・伝導と神経毒
第3章 毒と人間の危険な関係
1 規制薬物
ケシ→阿片→モルヒネ→ヘロイン
コカとコカイン 大麻(マリファナ、ハシシュ)
覚せい剤
宗教儀式で用いられた幻覚剤
2 毒と兵器
化学兵器と生物兵器
化学兵器の種類
生物兵器
● 毒の小事典〈化学兵器・生物兵器編〉
3 公害の原因となる毒
鉱物毒について
合成有機化合物は両刃の剣
● 毒の小事典〈化学合成物質編〉
4 放射性物質、放射線、放射能
放射線を測る単位
放射性物質に関する基本知識
放射性物質の種類とその影響
第4章 毒をもつ動物や植物 植物の毒
● 毒の小事典〈植物編〉
病原性微生物の毒
キノコの毒
魚介類の毒
節足動物の毒
両生類の毒
爬虫類の毒
第5章 毒の有効利用
1 生活のなかで利用されている毒
食品添加物と農薬
嗜好品
醗酵と腐敗
生活環境にある毒
2 医療に貢献する毒
さまざまな麻酔薬
ワクチンについて
抗生物質について
生薬について