ソーシャルスキルとは何かといった基礎知識から、指導内容や方法、教室の環境設定等をわかりやすく解説。着席する、見る、といった基本的なスキルはもちろん、協力する、暗黙のルールを理解する、適切に気持ちを表現するといった子どもの特性やねらいに合わせたスキル別に、SSTの実例を豊富に紹介。
◆巻頭 ソーシャルスキルに困難がある子どもたち
① 理解力や判断力に困難がある子_<知的障害、ボーダーライン知能(境界知能)>
② 認知能力にアンバランスがある子_<LD(学習障害)>
③ 行動コントロールに困難がある子_<ADHD(注意欠如/多動性障害)>
④ コミュニケーションや切り替えが苦手な子_<自閉症スペクトラム障害(自閉症、アスペルガー症候群)>
⑤ 運動面に不器用さがある子_<協調運動障害>
⑥ 情緒面に不安定さがある子_<愛着障害、トラウマ、家庭の問題など>
◆1章 ソーシャルスキル指導とは
ソーシャルスキル指導とは
ソーシャルスキルとは?
どのようにして指導していくのか?
プログラムの組み方は?
指導のポイント
教示のポイント
モデリングのポイント
リハーサルのポイント
フィードバックのポイント
般化のポイント
子どもどうしの人間関係を活かす
指導者に必要なスキル
スキル①具体性とわかりやすさ
スキル②子どもの気持ちに寄り添う
スキル③一貫性と柔軟性
スキル④社会的場面の交通整理
スキル⑤ちょっとした意地悪
スキル⑥ホットな心とクールな頭
スキル⑦学びとる姿勢(省察)
通級支援教室や特別支援学級での指導
通級指導教室とは
通級指導の内容
通級指導の形態
指導体制のあり方
特別支援学級での指導
チームアプローチ ~指導者の役割分担と連携~
チーム援助とは
チームワークがカギを握る
グループの構成に配慮を
教室の環境設定(構造化)
教室の構造化をはかる
指導を行う教室
プレイルーム
クールダウンスペース
掲示物やシンボルカードのつくり方
シンプルに示す
子ども理解のためのアセスメント
アセスメント(実態把握)の大切さ
アセスメントの方法
子どもの障害特性をおさえる
ソーシャルスキル指導を始める前に ~指導への動機づけ~
指導への動機づけ
活動をやめたいと言われたら?
理由①つまらない/グループが合わない
理由②不適応状況が改善された
理由③周囲の目が気になる
入級プレゼンテーションの実践例
◆2章 ソーシャルスキルの実例
●スキル1 着席する
自己コントロールの弱さがある
最初に取り組むべき課題
家庭における環境調整も大切
●スキル2 見る
集中力の持続が難しい
「見る」ことを意識づける
注目を促す工夫
●スキル3 聞く
語彙の獲得状況に個人差
「聞く」ことが苦手な原因を知る
聞き漏らしたときの補助手段
●スキル4 待つ
衝動性の高さが背景にある
サーキット運動や調理で指導
会話の場面で「待つ」
具体的な目標を提示する
●スキル5 ルールを守る
ルールを勝手に変えてしまう
ルールを明確にする
「しからないけど譲らない」を基本に
●スキル6 人と合わせる
相手を気づかうことが苦手
協力場面を増やしすぎない
「ひとりでできる」のがよいばかりではない
失敗を回避する
●スキル7 負けても怒らない
感情コントロールが苦手
人や物に当たらない・いじけない
「負けても怒らない」から「負けたけど楽しかった」へ
●スキル8 上手に切り替える(行動)
予測や見通しをもつことが苦手
切り替えの成功体験を積む
言語化して評価する
●スキル9 上手に切り替える(気持ち)
こだわりや衝動性が背景にある
家庭での対応のしかた
学校におけるクールダウン
●スキル10 集まる・並ぶ・移動する
行動コントロールに困難がある
低学年のうちから指導を
ルールの許容のしかたも指導
●スキル11 人前で話す
ことばで表現することが苦手
失敗を受け入れる雰囲気を
話すことに慣れる
●スキル12 あいさつ・お礼・謝る
あいさつへの意識が低い
「謝れない子」への指導
「あいことば」を使おう
●スキル13 報告・連絡・相談
独りよがりになりがちな子
係や日直の仕事で応用させる
家庭でのお手伝い
●スキル14 ヘルプを出す
ひとりで解決したいという思い
ヘルプを拒絶しない
スキル獲得の優先順位
●スキル15 上手に話し合う
多様な要素を含んだ総合的スキル
発達段階に応じた指導を
生活のなかで学習機会を見つける
●スキル16 会話
相互的なやりとりが難しい
会話や発言のルールを確認する
「交渉ゲーム」で話し上手に
●スキル17 ポジティブにかかわる
衝動的に乱暴なことばが出てしまう
ネガティブにかかわらない
注意するのは先生
手本となる子を評価する
●スキル18 仲間意識、所属感を高める
集団参加にストレスや不安がある
指導者と子どもの関係を築く
対等な人間関係を経験させる
●スキル19 協力する
「協力する」ことが理解できない
いろいろな協力のしかたを学ぶ
日常的に「協力する」
●スキル20 仲間で計画・立案・実行する
さまざまなスキルが必要
学期に一度は計画立案の場を
具体的な手順や方法を示す
●スキル21 空気を読む
相手の視点に立てない
発達段階に応じた指導を
理解できなくても不用意に責めない
●スキル22 ことばでのやりとり
言語能力と社会性が必要
子どもの関心に気持ちを寄せる
共通項のある友だちとのやりとり
●スキル23 かくれたルールを理解する
当たり前のルールがわからない
●スキル24 動作模倣
運動の不器用さと模倣の弱さ
身体感覚を育てる工夫
少しずつゆっくりと練習する
●スキル25 適切に気持ちを表現する
自分の気持ちが表現できない
表情シンボルと感情語をマッチ
気持ちカード・気持ちの温度計
トラウマなどへの配慮を
●スキル26 自分の課題の自己理解
自分の課題を肯定的に捉える
周りの大人が肯定的に受け止める
がんばりを親に報告する
◆3章 通級指導学級における指導の実際
通級指導学級での1日の指導 154
○曜日グループ(6名グループ)の1日
朝の登校時
朝の会
1時間目・体育(運動・動作の時間)
2時間目・活動
中休み
3時間目・個別学習(A君のケース)
4時間目・コミュニケーション
給食
掃除
帰りの会
通級指導学級での年間指導計画
年間の指導の流れ
■事例・低学年の年間指導
◇曜日グループ(5名グループ)の年間指導の流れ
《実態把握・アセスメント》
《動機づけ・めあての設定》
《計画の見直し・修正》
《学期末の評価・振り返り》
■事例・高学年の年間指導
☆曜日グループ(5名グループ)の年間指導の流れ
《実態把握・アセスメント》
《動機づけ・めあての設定》
《1学期末の評価と振り返り》
《3学期のまとめの学習》