書籍詳細

プロカウンセラーが教える 場面別 傾聴術レッスン

古宮 昇 監修

サイズ・頁数 四六判・224頁
ISBNコード 978-4-8163-5856-2
価格(税込) 1,540円
発行日 2015.07.09

内容紹介

人の言うことを聞くことは、じつは、たいへん難しいことです。本書は、人のはなしを聞くための技術「傾聴術」を解説しています。本書では、傾聴のテクニックを学べるように、傾聴を妨げる心理を具体的に解説するとともに、難しい場面で効果があると考えられる対応例を、その理由を解説しています。

目次

第1章 求められる傾聴力とは

■傾聴は、人と人とをつなぐコミュニケーション

 コミュニケーションは心の距離を近づける

 コミュニケーションの二つの役割

■相手の話を受け止めると、共有世界が築かれる

 情報は発信するよりキャッチする

 価値観を肯定されると、承認欲求が満たされる

■人は好意を受けたら返そうとする

 心は自動的に反応する

 返報性が信頼関係を生む

■プロの技もそのままでは使えない

 心理カウンセラーは傾聴の専門家

 話を聴く目的が異なる

■傾聴が多くの問題を解決する

 問題解決へのさまざまな道

 一般的な傾聴の目的は、ニーズの見立て

■役割認識が人間関係をかたちづくる

 自己開示がコミュニケーションを支える

 行為は役割認識によって方向づけられる

■心理カウンセリングは非日常の空間で行われる

 シチュエーションが異なる

 時間を区切るときは配慮が求められる

■チームで問題を解決する

 個人の能力よりも組織力

 チームワークに必要な力

■相手が求めている自分の役割に意識を向ける

 注意を向けなければ、情報は受け取れない

 求められていることを意識する

■人の本質を知れば話の聴き方も変わる

 人には長所もあれば短所もある

 同じ人間はどこにもいない

■人の心は移り変わる

 心はとらえどころがない

 心も成長・発達する

■人間力を養う

 人間理解は傾聴の基礎知識

 話を聴いてもらいたい人になる

■人間力は総合力

 人間力はさまざまな場面で力を発揮する

 人間関係はふだんの生活の中でつくられる

■知識があれば理解力が深まる

 知識はもてる力を強化する

 専門性を高めることが傾聴力を強化する

■想像力が傾聴力を向上させる

 経験のすき間を想像力が埋める

 思考を巡らせば、想像力が広がる

■想像力を鍛える

 いろいろな立場に自分を置き換えてみる

 自分への問いかけが決め手

■多くの場面で傾聴は効力を発揮する

 傾聴から広がる世界

 場面別アプローチで豊かな想像力を

■心を読み解くヒント 動機づけ



第2章 心理カウンセリングから学ぶ傾聴の基本

■おおらかな気分で耳を傾ける

 大きな心で話を聴く

 安らぎの場を提供する

■あるがままに受け止める

 人は最もよい行動を選び取る

 性格や価値観は必要から生まれる

■相手の世界観に共感する

 話し手を世界の中心に置く

 客観的事実よりも大切な主観的世界

■共感するのは難しい

 行動の背景因子は相互に作用する

 変化もあるがままに受け止める

 事実と評価は混じりやすい

■言葉より伝わるしぐさや態度

 話しやすい雰囲気は人がつくる

 言語を使わずに伝える

■言葉にならない声を聴く

 ノンバーバルで受け取るメッセージ

 気持ちは服装にもあらわれる

 言葉にできないさまざまな思い

■相手の懐に入り込む

 相手の気分を読み取る

 相手の性格に合わせた応答をする

■話をさえぎらない

 おしゃべりは楽しい

 話したい欲求を抑えなければ、話は聴けない

■話を聴いていることを、相手に伝える

 受け取った球を返す

 相づちが話を深める

■キーワードを繰り返して、さらに話を深める

 キーワードを探す

 「わかる」は禁句

■批判しない

 気持ちは対極にすり替わる

 価値観は絶対的なものではない

■非難されても受け止める

 自他の区別をつける

 反論はしない

■他者への非難に共感する

 非難の対象者を擁護してはいけない

 悪口を肯定しても受容にはならない

■噓をつかない

 自分の感情を抑えつけてはいけない

 否定的な気持ちになるわけ

 自分の感情を受け止めながら聴く

■思いを察していいかえる

 話し手の思いを言語化する

 理解にズレが生じたら

 明確化は自己理解を深める

■話を引き出す

 質問を使って話を聴く

 二種類の質問を使いこなす

■上手に聴き出す

 具体例をあげて尋ねる

 閉ざされた質問に置き換える

■話し手の意図に合った質問をする

 最初のひと言では意図はつかめない

 質問は話の舵取り役

■情報を集めようとしない

 話の内容に沿った質問をする

 好奇心で質問しない

■論理性を求めない

 感情は論理的なものではない

 無理に筋の通る話にしない

■情報提供で解決する問題もある

 提供する情報を選ぶ

 確かな情報を提供する

 情報提供の一環として

■アドバイスをする

 アドバイスを押しつけない

 信頼関係がないと反発を生む

 アドバイスの危険な罠

■できないアドバイスもある

 情報提供では解決しない問題も多い

 答えを求めていない質問もある

■その人の力をほめる

 ほめられると前向きになる

 心を健康に保つ

■答えは一つではない

 言葉の裏側にある心に気づく

 答えを一緒に考える

■責任を引き受けない

 社会規範が手助けをさせる

 個人の課題を他人は肩代わりできない

 自己決定に基づいた行動を支える

■心を読み解くヒント パーソナリティの形成



第3章 傾聴場面にあらわれやすい心理

■ホンネを隠す防衛機制

 傷つきたくないという本能の働き

 無意識に追いやる「抑圧」

■つらい現実を回避しようとする

 現実から逃げる防衛機制

 現実を否定する防衛機制

 未熟な発達段階に戻る防衛機制

■都合の悪いことは置き換えようとする

 言い訳し、正当化する防衛機制

 かわりのもので充足を得る防衛機制

 知識でカバーしようとする防衛機制

■置き換えた欲求で高みを目指す

 かわりの行動で補おうとする防衛機制

 社会的価値の高い欲求にかえる防衛機制

■他者と自分を重ねて心を安定させる

 他者の行動を取り入れる防衛機制

 自分の感情を相手に重ねる防衛機制

■気まずい雰囲気が続くとき

 表面化されない抵抗もある

 理由を探って関係をつくりなおす

■過去に生じた感情が転移する

 以前抱いた感情が向けられる

 マイナスの感情転移は抵抗と感じられる

■転移した感情にふりまわされる逆転移

 転移に気づかず起こる逆転移

 解決していない問題が逆転移を生む

■情報は無意識にゆがめられる

 世界に一つの認知フィルター

 柔軟な心で受け止める

 物事をゆがめる認知フィルター

■くらべた対象で評価が変わる対比効果

 認知の仕方にはクセがある

 比較価値は本当の価値ではない

■好みが価値を左右する

 目立った特徴が真実をゆがめるハロー効果

 自信のなさが評価をあげる寛大効果

■ある一面が全体評価に結びつく

 わずかな経験で認知する過度の一般化

 単純にして理解する過度の単純化

■欠点を際立たせるレッテル貼り

 人はレッテルを貼りたがる

 不安な心がレッテルを貼らせる

■強迫観念に駆られるすべき思考

 すべき思考はやる気を奪う

 自分のものさしは他者には通用しない

■受容を妨げる劣等感

 強い劣等感は問題を引き起こす

 劣等感から生まれる引き下げの心理

■過度の甘えは依存を生む

 社会が甘えを許容する

 甘えは悪いことではない

 互いに依存し合う関係とは

■メサイア・コンプレックスという落とし穴

 自分が救われたいから人を助ける

 自己中心的な動機による行いは不安定

■対人援助職へと導く不健全な動機

 動機は仕事の質に影響する

 感情を処理するための動機

 不健全な動機に気づき修正する

■仕事として感情を管理する

 対人援助職は感情労働

 感情規則に則して感情を管理する

 人としての感情を押し殺す

■感情労働は心を消費する

 対人援助職に多いバーンアウト

 共感疲労にはサポートが必要

■ストレスを理解しよう

 ストレスは毒にも薬にもなる

 人間関係はストレスのもとになりやすい

■ストレスとうまくつきあう

 ふだんの生活の中でストレスを解消する

 職場でストレスを解消する

■専門家に橋渡しをしたほうがいいとき

 誰が対応するのがよいか適切に判断する

 未解決の問題を抱えたまま支援はできない

■心を読み解くヒント 他者からの影響



第4章 知っておきたい場面別アプローチ

○「あなたのせいだ」と責める人への対応

○いつも誰かの意見を求める人への対応

○ホンネをしゃべれない人への対応

○攻撃的な言葉を発する人への対応

○白黒をはっきりつけたがる人への対応

○同じ話を繰り返す高齢者への対応

○体の痛みを訴える人への対応

○うつ状態の人への対応

○適応障害のある人への対応

○アルコール依存者への対応

○治療を受けたがらない人への対応

○なかなか退院したがらない入院患者への対応

○眠れないと訴える人への対応

○甘えが強い人への対応

○サービスを拒む人への対応

○子育てに自信をなくした親への対応

○クレームを言う保護者への対応

○子どもを虐待する保護者への対応

○万引きを繰り返す子どもへの対応

○キレる子どもへの対応

○いじめにあっている子どもへの対応

○陰口を言う子どもへの対応

○学校へ行きたがらない子どもへの対応

○ひきこもりの人への対応

○無気力な子どもへの対応

○有機溶剤を乱用する青少年への対応

○摂食障害のある人への対応

○強迫性障害のある人への対応

○認知症高齢者への対応

○認知症のある人の恋愛相談への対応

○好きと打ち明けられたときの対応

○ターミナル期を迎えた人への対応