医療・スポーツ関係者の仕事に就く方、目指す方に向けた生理学の本です。リアルなカラーイラストや、わかりやすい模式図を豊富に使い、人間の体の基本的な機能と仕組みを解説します。先生と生徒、および章ごとのキャラクターが、目には見えない人体や細胞の世界を案内します。
巻頭
生理学とはなんだろう?
体の機能を追求する学問
ヒトの1日を生理学からみると
まえがき
第1章 食べる、消化する 消化・吸収と中間代謝
ヒトはちくわと同じ
体をつくり、生命維持に不可欠─栄養素の役割
食物摂取の第一ステップ─噛む、飲み込む
食べ物を少しずつ腸へ送る─食べ物をためる、溶かす
最強の消化液と混ぜる─膵液と胆汁による消化
食物を体の「中」へ取り込む─終末消化と吸収
食物を縦横に押しつぶす─蠕動運動
消化を促すホルモンの働き─消化液の分泌の制御
栄養素と不要なものを処理する─各栄養素の吸収
体内で栄養素を加工する─中間代謝
空腹時の重要なエネルギー産生─糖新生
手っ取り早くエネルギーをつくる─嫌気的解糖系
大きなエネルギーを長時間つくる─TCAサイクルとβ酸化
筋肉に蓄えたエネルギーのもとを使う─ローマン反応
筋肉で熱をつくり、汗で冷やして調節─体温の生成と調節
column 生理学的にも、脂肪を減らすには運動するのがベスト
第2章 息をする、血液の流れ 呼吸と循環
呼吸は生命活動の基本
酸素を血液に溶かす─肺胞とガス交換
呼吸の調節をするセンサーがある─換気応答
血液は全身の物流に不可欠─物資の運搬
血液成分の重要任務①─赤血球と酸素運搬
血液成分の重要任務②─白血球と免疫
血液成分の重要任務③─血小板と凝固作用
血液成分の重要任務④─血漿と栄養素の運搬
型を決めるのは抗原抗体反応─ABO式血液型とRh式血液
血管は全身に巡らされた輸送路─血液の循環ルートと心臓
全身に血液を送り出す─心臓のポンプ作用
体内で栄養素を加工する①─動脈と静脈
体内で栄養素を加工する②─毛細血管と微小循環
水分と高分子の物質を輸送する─リンパ循環
高すぎても低すぎてもよくない─血圧
column 手のひらや指の静脈を使った認証システムのしくみは?
第3章 体内環境の整備 排泄
出さないと命にかかわる
腎臓で血液中のゴミを除く─尿の生成
毛細血管でできたフィルターが働く─血液の濾過システム
いったん捨てた水分や成分を再吸収─原尿の再吸収
膀胱は尿の一時保管場所─膀胱と排尿
大腸の重要な働き─消化物の固形化
タイミングを逃さないのがポイント─胃-大腸反射と排便
column 腎臓病になると、高血圧になるのはなぜ?
第4章 つくる、交流する 細胞
細胞は生物の基本
体の中には海がある?─細胞の内外にある水分
細胞の仕事①─遺伝子は設計図
細胞の仕事②─細胞小器官の役割
これなしでは細胞は成り立たない─細胞膜のしくみ
輸送のしくみはさまざまである─細胞膜の物流システム
細胞膜の輸送形態①─拡散と浸透
細胞膜の輸送形態②─ポンプは動力輸送
細胞膜の輸送形態③─輸送体は運び屋の役割
細胞膜の輸送形態④─チャネルは特殊な通路
column 細胞の寿命はどれくらい? 自殺する細胞もある?
第5章 体を動かす 情報伝達
伝わらないと動かない
反応のきっかけ─細胞膜の電気現象
情報伝達を可能にする─静止膜電位と活動電位
情報の伝達路─全身を巡る神経ネットワーク
活動電位が次々に移動する─神経細胞と興奮の伝導
神経細胞の連結部─シナプスと化学的伝達
神経と筋肉の連絡─筋肉と運動神経
筋肉の収縮するしくみ─神経の興奮と筋細胞
筋肉の種類と構造①──骨格筋、心筋、平滑筋
筋肉の種類と構造②──横紋筋のフィラメント
筋肉の種類と構造③─フィラメントと筋収縮
心臓は筋肉でできている─心筋を動かすしくみ
心臓のリズムの調節─洞房結節と自律神経
心臓のリズムを決める─ペースメーカー電位
リズムの伝わり方─心筋細胞の伝導
心臓内の刺激の伝わり方がわかる─心電図の波形の意味
心臓が動きつづける理由─心筋特有の収縮スタイル
column 神経伝達物質は精神状態にも影響する?
第6章 支える、保つ 内分泌
ホルモンは体の機能の調整役
ホルモンが作用するしくみ─セカンドメッセンジャーの合成
内分泌系の総司令塔─視床下部ホルモン
視床下部ホルモンの指令で反応─下垂体ホルモン
概日リズムと関係する─松果体ホルモン
別名は“異化作用ホルモン”─甲状腺ホルモン
糖代謝を調整する─副腎皮質ホルモン①
体液の調整にかかわる─副腎皮質ホルモン②
ストレスに対抗して作用する─副腎髄質ホルモン
糖、たんぱく、脂質の代謝にかかわる─膵島ホルモン
2つのホルモンが女性の体を支配する─女性ホルモン
精巣から分泌される─男性ホルモン
column ホルモンの分泌異常によって起こる病気にはどんなものがある?
第7章 感じる、反応する 神経
神経は体の情報を伝えるネットワーク
体の各部位、臓器の機能を担う─末梢神経系
自律神経は縁の下の力持ち─交感神経と副交感神経
人の感覚は20種類以上─感覚神経
明暗を感じ、物を見る─視覚
耳は音を聞くだけではない─聴覚、平衡感覚
化学物質の識別による─嗅覚と味覚
環境の変化をとらえるセンサー─皮膚感覚
痛みは部位によって異なる─痛覚
自分の“体”を感じる─深部感覚
脳の指令を全身の筋肉に伝える─運動神経
体をうまく使いこなすために①─錘体路
体をうまく使いこなすために②─小脳と大脳基底核
column
けがや病気で手足を切断した後、ないはずの腕や足を感じるのはなぜ
第8章 考える、動く 意識と行動
ヒトのこころはすべて脳の働き
本能による行動を起こさせる─視床下部、大脳辺縁系
2つの言語中枢があって成立する─言語機能
くり返しの刺激が記憶をつくる─学習と記憶
体中の感覚情報を受け止める─認知
生涯約3分の1の時間を費やす─睡眠
意識を保つためのしくみ─覚醒
column ヒトらしい感情や意志、理性はどこからやってくる?
索引