こころの病気のメカニズムから、病気の種類・患者への接し方、効果的な薬、精神療法、精神医療をとりまく環境まで、最新の研究をもとに、豊富な図解でわかりやすく解説。医療従事者からコメデディカルを目指す学生、一般の患者さんや周囲の方まで、精神医学の正しい知識を学ぶために最適な一冊です。
■巻頭口絵 こころと脳の関係はどこまで解明されたか
思考や感情は脳から生まれる
情報は電気信号として伝わる
脳の活動がわかるようになってきた
■第1章 こころの病気の原因は脳にあるのか
【病気の原因を研究し治癒するための学問】精神医学とは
【自分の内にあるのか、外にあるのか】こころの病気の原因
【ストレスや葛藤が原因】心因性のこころの病気
【なんらかの素質が原因】内因性のこころの病気
【脳に器質的な原因がある】外因性のこころの病気
<コラム>身体疾患から起こる「症状精神病」
■第2章 精神医学の歴史と治療法の変遷
【呪術から医学へ】古代から中世の精神疾患
【拘禁から治療へ】精神医療の始まり
【脳や神経が原因と考えた】精神医学の進展
【近代精神医学の礎ができる】フロイト、クレペリンの活躍
【日本での精神医学】私宅監置から精神病院へ
【治療法が劇的に変わった】向精神薬の誕生
【自立した生活も可能に】社会復帰を目指す医療
【診察】問診と診断
【患者の訴えと外観から】こころの病気の症状
【DSM-ⅣとICD-10】こころの病気の分類
<コラム>患者側、医療側、双方のためのインフォームド・コンセント
■第3章 気分障害と不安障害
【気分が落ち込み、意慾がわかない】(気分障害)大うつ病
【気分の落差が激しい】(気分障害)双極性障害
【現代、患者が増えている】(気分障害)非定型うつ病
【死を意識する不安に襲われる】(不安障害)パニック障害
【人と会うことを恐怖に感じる】(不安障害)社交不安障害
【特定のものを強くおそれる】(不安障害)特定の恐怖症
【つねに不安で苦しい】(不安障害)全般性不安障害
【確認行為がやめられない】(不安障害)強迫性障害
【社会環境に合わせられない】適応障害
【過去に受けたこころの傷】(不安障害)心的外傷後ストレス障害
【かつてヒステリーとよばれた】解離性障害
<コラム>医療関係者は絶対に守らなくてはならない「守秘義務」
■第4章 さまざまなこころの病気
【症状が多様で自覚がない】統合失調症
【こころの病気の深刻な問題】自殺
【単なるもの忘れではない】認知症
【ストレスから身体症状が現れる】心身症
【アルコール、薬物づけになる】依存症
【病気?性格の問題?】パーソナリティ障害
【過食・拒食が代表例】摂食障害
【眠りのリズムが乱れる】睡眠障害
【病気やけがを偽る】虚偽性障害
【いろいろな現れ方がある】性に関する精神障害
【人とのコミュニケーションが苦手】広汎性発達障害
【集中力や落ち着きがない】AD/HD
【配偶者や親子間での暴力】家庭内暴力
【わが子にひどい扱いをする】児童虐待
【学校に行けない・社会に出られない】不登校・ひきこもり
■第5章 効果的な薬が開発されている
【脳に直接働きかける】薬物療法とは
【はじめて開発された薬】向精神薬
【こころの興奮状態を鎮める】抗精神病薬、非定型抗精神病薬
【新しく開発された抗うつ薬】SSRI、SNRI
【気分の変動を少なくする】気分安定薬
【緊張や不安を和らげる】抗不安薬
【中核症状を改善する】抗認知症薬
【てんかんの発作を抑える】抗てんかん薬
【依存症が軽減された】睡眠薬
【意慾や覚醒を高める】精神刺激薬
【新薬が承認されるまで】治験
【改良され効果が見直される】電気けいれん療法
<コラム>薬の中断と再発率には関係がある
■第6章 精神療法で症状を改善する
【いくつかのジャンルに分類できる】精神療法とは
【患者を受け入れ、支える】支持的精神療法
【フロイトから始まった】精神分析療法
【患者の主体性に重きをおく】来談者中心療法
【ものごとのとらえ方のゆがみを治す】認知療法
【行動そのものを修正する】行動療法
【現在の人間関係に注目する】対人関係療法
【緊張をほぐすリラックス法】自律訓練法
【日本で生まれた精神療法】森田療法
【創作活動でこころを表現する】芸術療法
【箱庭に自由に表現する治療法】箱庭療法
【家族が治療に参加する】家族療法
<コラム>裁判で行なわれる「精神鑑定」
■第7章 患者の社会復帰と自立のために
【どの科を受診するのか?】精神科、心療内科
【必要に応じて選択する】入院治療
【治療チームの要となる医師】精神科医
【患者との接点がいちばん多い】看護師
【カウンセリングで患者を支える】臨床心理士
【治療のアフターケアを行う】精神保健福祉士
【社会に復帰し自立するためのリハビリ】社会療法
【日常生活のスキルを身につけるリハビリ】生活技能訓練(SST)
【実作業を通じたリハビリ】作業療法
【患者を地域全体で支える】地域精神医療
【社会生活の準備をする】デイケア・ナイトケア
【地域の福祉サービス】公的な支援
【社会で働くために】就労支援とリワーク
【同じ病気の人が支え合う】患者および家族の会
<コラム>公的な支援を受けるために「障害者手帳」の取得を