書籍詳細

見る・知る・味わう 「百人一首」手帖

吉海直人 監修

サイズ・頁数 B6変型判・176頁
ISBNコード 978-4-8163-5741-1
価格(税込) 1,210円
発行日 2014.11.17

内容紹介

百人一首の歌を美しいかるた札とともに手軽に味わえる、オールカラーのハンディ本。歌の意味や鑑賞のポイント、作者の人物像についての解説とともに、雅やかな歌仙絵が楽しめる江戸時代前期のかるた札を掲載しています。巻末には、百人一首の成り立ちや歌人の人間関係など、歌の理解に役立つ解説付き。

目次

■写真と味わう百人一首

春のうた

夏のうた

秋のうた

冬のうた

恋のうた



■かるたと味わう百人一首

1 秋の田のかりほの庵のとまをあらみ 我が衣手は露に濡れつつ(天智天皇)

2 春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山(持統天皇)

3 足曳きの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む(柿本人丸)

4 田子の浦に打出でてみれば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ(山辺赤人)

5 奥山に紅葉踏み分けなく鹿の 声聞く時ぞ秋は悲しき(猿丸大夫)

6 かささぎの渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける(中納言家持)

7 天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも(阿倍仲麿)

8 わが庵は都のたつみしかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり(喜撰法師)

9 花の色は移りにけりないたづらに 我が身世にふるながめせしまに(小野小町)

10 これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関(蟬丸)

11 わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人にはつげよあまの釣舟(参議篁)

12 天つ風雲のかよひぢ吹きとぢよ 乙女の姿しばしとどめむ(僧正遍昭)

13 筑波ねの峰より落つるみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる(陽成院)

14 陸奥のしのぶもぢずり誰故に 乱れそめにし我ならなくに(河原左大臣)

15 君がため春の野に出でて若菜つむ わが衣手に雪は降りつつ(光孝天皇)

16 立別れいなばの山の峰におふる まつとし聞かば今帰り来む(中納言行平)

17 ちはやぶる神代も聞かず龍田川 から紅に水くぐるとは(在原業平朝臣)

18 住の江の岸による浪よるさへや 夢の通ひ路人目よくらむ(藤原敏行朝臣)

19 難波潟短き葦のふしのまも あはでこの世をすぐしてよとや(伊勢)

20 侘びぬれば今はた同じ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ(元良親王)

21 今来むといひしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな(素性法師)

22 吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風を嵐といふらむ(文屋康秀)

23 月見れば千々にものこそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど(大江千里)

24 このたびは幣もとりあへず手向山 紅葉の錦神のまにまに(菅家)

25 名にしおはば逢坂山のさねかづら 人に知られでくるよしもがな(三条右大臣)

26 小倉山峰のもみぢ葉心あらば 今ひとたびのみゆき待たなむ (貞信公)

27 みかの原わきて流るる泉川 いつみきとてか恋しかるらむ(中納言兼輔)

28 山里は冬ぞ寂しさまさりける 人目も草もかれぬと思へば(源宗于朝臣)

29 心あてに折らばや折らむ初霜の 置きまどはせる白菊の花(凡河内躬恒)

30 有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし(壬生忠岑)

31 朝ぼらけ有明の月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪(坂上是則)

32 山がはに風のかけたるしがらみは 流れもあへぬ紅葉なりけり(春道列樹)

33 久方の光のどけき春の日に しづごころなく花の散るらむ(紀友則)

34 誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに(藤原興風)

35 人はいさ心もしらずふるさとは 花ぞ昔の香ににほひける(紀貫之)

36 夏の夜はまだ宵ながらあけぬるを 雲のいづこに月宿るらむ (清原深養父)

37 白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける(文屋朝康)

38 忘らるる身をば思はず誓ひてし 人の命の惜しくもあるかな(右近)

39 浅茅生の小野の篠原しのぶれど あまりてなどか人の恋しき(参議等)

40 忍ぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで(平兼盛)

41 恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか(壬生忠見)

42 契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山浪こさじとは(清原元輔)

43 逢ひ見ての後の心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり(権中納言敦忠)

44 逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし(中納言朝忠)

45 哀れともいふべき人はおもほえで 身のいたづらになりぬべきかな(謙徳公)

46 由良の門をわたる舟人かぢを絶え 行方も知らぬ恋の道かな(曾禰好忠)

47 八重葎しげれる宿のさびしきに 人こそ見えね秋は来にけり(恵慶法師)

48 風をいたみ岩うつ浪のおのれのみ くだけてものを思ふ頃かな(源重之)

49 御垣守衛士のたく火の夜はもえ 昼は消えつつものをこそ思へ(大中臣能宣)

50 君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな(藤原義孝)

51 かくとだにえやはいぶきのさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを(藤原実方朝臣)

52 明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしき朝ぼらけかな(藤原道信朝臣)

53 嘆きつつ独りぬる夜の明くるまは いかに久しきものとかは知る(右大将道綱母)

54 忘れじの行末まではかたければ 今日を限りの命ともがな(儀同三司母)

55 滝の音はたえて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ(大納言公任)

56 あらざらむこの世のほかの思ひ出に 今一たびの逢ふこともがな(和泉式部)

57 めぐり逢ひて見しやそれともわかぬまに 雲がくれにし夜半の月かな(紫式部)

58 有馬山ゐなのささ原風吹けば いでそよ人を忘れやはする(大弐三位)

59 やすらはで寝なましものを小夜更けて かたぶくまでの月を見しかな(赤染衛門)

60 大江山生野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立(小式部内侍)

61 いにしへの奈良の都の八重ざくら 今日九重に匂ひぬるかな(伊勢大輔)

62 夜をこめて鳥のそら音ははかるとも よに逢坂の関はゆるさじ(清少納言)

63 今はただ思ひ絶えなむとばかりを 人づてならで言ふよしもがな(左京大夫道雅)

64 朝ぼらけ宇治の川霧絶えだえに あらはれ渡る瀬々の網代木(権中納言定頼)

65 恨み侘びほさぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ(相模)

66 もろともにあはれと思へ山ざくら 花よりほかに知る人もなし(大僧正行尊)

67 春の夜の夢ばかりなる手枕に かひなくたたむ名こそ惜しけれ(周防内侍)

68 心にもあらで憂き世にながらへば 恋しかるべき夜半の月かな(三条院)

69 嵐ふく三室の山のもみぢ葉は 龍田の川の錦なりけり(能因法師)

70 寂しさに宿を立ち出でて眺むれば いづこも同じ秋の夕暮(良暹法師)

71 夕されば門田の稲葉おとづれて 葦のまろやに秋風ぞ吹く(大納言経信)

72 音に聞く高師の浜のあだ浪は かけじや袖のぬれもこそすれ(祐子内親王家紀伊)

73 高砂の尾の上の桜咲きにけり 外山の霞たたずもあらなむ(権中納言匡房)

74 うかりける人を初瀬の山おろしよ はげしかれとは祈らぬものを(源俊頼朝臣)

75 契りおきしさせもが露を命にて あはれ今年の秋もいぬめり(藤原基俊)

76 わたの原漕ぎ出でて見れば久方の 雲居にまがふ沖つ白浪(法性寺入道前関白太政大臣)

77 瀬を早み岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ(崇徳院)

78 淡路島かよふ千鳥の鳴く声に いくよ寝覚めぬ須磨の関守(源兼昌)

79 秋風にたなびく雲の絶え間より もれ出づる月の影のさやけさ(左京大夫顕輔)

80 ながからむ心も知らず黒髪の 乱れてけさはものをこそ思へ(待賢門院堀河)

81 ほととぎす鳴きつる方を眺むれば ただ有明の月ぞ残れる(後徳大寺左大臣)

82 思ひわびさても命はあるものを 憂きに堪へぬは涙なりけり(道因法師)

83 世の中よ道こそなけれ思ひ入る 山の奥にも鹿ぞなくなる(皇太后宮大夫俊成)

84 ながらへばまたこのごろやしのばれむ 憂しと見し世ぞ今は恋しき(藤原清輔朝臣)

85 夜もすがらもの思ふころは明けやらで ねやのひまさへつれなかりけり(俊恵法師)

86 嘆けとて月やはものを思はする かこち顔なるわが涙かな(西行法師)

87 村雨の露もまだひぬ槙の葉に 霧立ちのぼる秋の夕暮(寂蓮法師)

88 難波江のあしのかりねの一夜ゆゑ みをつくしてや恋わたるべき(皇嘉門院別当)

89 玉の緒よたえなば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする(式子内親王)

90 見せばやな雄島のあまの袖だにも 濡れにぞ濡れし色はかはらず(殷富門院大輔)

91 きりぎりすなくや霜夜のさむしろに 衣かたしき独りかも寝む(後京極摂政前太政大臣)

92 わが袖は汐干に見えぬ沖の石の 人こそ知らね乾く間もなし(二条院讃岐)

93 世の中は常にもがもな渚こぐ 海士の小舟の綱手かなしも(鎌倉右大臣)

94 みよし野の山の秋風小夜更けて 故郷寒く衣うつなり(参議雅経)

95 おほけなくうき世の民におほふかな わが立つ杣に墨染めの袖(前大僧正慈円)

96 花さそふあらしの庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり(入道前太政大臣)

97 来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ(権中納言定家)

98 風そよぐならの小川の夕ぐれは みそぎぞ夏のしるしなりける(従二位家隆)

99 人もをし人もうらめしあぢきなく 世を思ふ故にもの思ふ身は(後鳥羽院)

100 百敷や古き軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり(順徳院)

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